プログラム編成方針
MIRUでは,以下に示す5つの場を提供することを目的に,会期中の各種プログラムを編成します.
- 国内において芽生えた,挑戦的・萌芽的な研究をプロモートし大きく育てる場
- トップカンファレンス等への挑戦をモチベートする場
- 国内の研究を一度に,かつ横断的に情報収集,総覧できる場
- 研究者同士が知り合い,意見交換し,共同研究等につなげる人的交流の場
- 研究のトレンドを知り,最新技術を使いこなすための勉強ができる場
以下にそれらの狙いとその実装について説明します.
1. 国内において芽生えた,挑戦的・萌芽的な研究をプロモートし大きく育てる場
MIRUは今や700名前後の参加者を数える大規模なイベントとなり,この大舞台で口頭発表することは多くの研究者の目標となってきました.しかし一方でMIRUを最終ゴールとして目指すことは,研究の国際的プレゼンスの向上,ひいては国内コミュニティの国際化にとってマイナスに働いているのではないかという懸念も示されています.MIRUはジャーナル論文や国際会議に採択されうる研究にはまだ達していない研究を主な対象とし,それを大きく育てて巣立たせるためのイベントです.この理念のもと,以下のような方針でプログラムを編成します.
- 口頭発表を選定するにあたっては,論文の完成度や定量的性能には必ずしもこだわらず,挑戦的・萌芽的な研究,他の研究者への刺激や参考になる研究を高く評価します.この目的のため評価(査読)フォーム(本ページの末尾に記載)を一新し,査読において往々にして行われがちな論文の瑕疵や欠点を指摘するような評価になりにくいようにします.論文の選定基準は必ずしも論文の信頼性や完成度,性能の優劣に基づいたものではありません.
- ジャーナル論文や国際会議において行われる査読とは一般に,投稿された論文の正確さ・了解性や提案内容の新規性・有効性などを第三者(査読者)が確認することです.これにより論文そのものやそれを掲載した論文誌・国際会議の質に一定の保証が与えられ,同時に著者の業績が認められたことになります.それに対し,MIRUはジャーナル論文未満・国際会議未満の研究をプロモートし大きく育てる場であり,MIRUにおける口頭発表は最終的なゴールたり得ません.また,投稿された論文はMIRUでの発表に適さない場合を除き不採録となることはありません.しかし「査読付き」と呼ぶことにより,研究が業績として認められたような誤解を生む恐れがありますので,MIRU2017からは「査読」の呼称を撤廃し,『「口頭発表候補論文」を「評価」した結果「口頭発表に選定」する』というような呼称に変更します.
- MIRUの口頭発表は基本的に,未発表のアイディアを多くの聴衆と共有することが目的となります.よって,査読付きのジャーナル論文や国際会議で発表済み,または掲載が決定済みの論文については,口頭発表候補論文として投稿することは出来ません.詳細は原稿作成要領の二重投稿規程の欄を参照して下さい.
2. トップカンファレンス等への挑戦をモチベートする場
- MIRUでは2013年に導入された「招待講演」において,国際トップカンファレンスに論文が採択された研究者の一部を招待し,その論文の内容のみならず,厳しい競争と査読に耐えうる研究・論文に仕上げる過程などを紹介いただいています.MIRU2017でも引き続き招待講演を設定しますので,是非トップカンファレンスでの採択を目指して下さい.
- MIRUではMIRU長尾賞を始めとした多数の賞を設定しており,それらは賞選定委員会が密な議論に基づき選定するものと,参加者の投票に基づき決定されるものの2つに分かれます.MIRU2017では従来から設定されていたこれらの賞を継承しますが,さらにMIRU学生奨励賞の対象をポスター発表にも広げることを予定しています.
3. 国内の研究を一度に,かつ横断的に情報収集,総覧できる場
- MIRUの魅力の1つに,国内の様々な研究やトレンドを一度のイベントで把握できることが挙げられます.MIRU2017ではすべての発表のページ数を一律4ページ以下とすることで,研究の概要だけでなく,その詳細もある程度把握できるようにします.
- 一般投稿はMIRUでの発表に適さない内容である場合を除き,原則的に不採録とはならず,ポスター発表の機会が与えられます.査読付きのジャーナル論文や国際会議に採録決定済みの研究は口頭発表候補論文としての投稿を禁止していますが,一般投稿ではその制限を設けませんので,海外で発表した研究を国内向けにも紹介し意見交換することなどにも活用することが出来ます.
4. 研究者同士が知り合い,意見交換し,共同研究等につなげる人的交流の場
- 口頭発表に選定された論文は,加えてポスター発表も行っていただきます.質疑応答の時間に十分な意見交換やディスカッション,交流を行うことは難しいため,ぜひポスター発表にて交流を図って下さい.
- MIRUでは「若手プログラム」を全面的にサポートしています.MIRUの会期の前後や夕刻に,より密な交流や共同作業を伴うプログラムを実施しますので,奮ってご参加下さい.詳細はMIRU若手プログラムのページをご参照下さい.
- MIRUでは人的交流を促進するため,MIRUへの参加者は全員がバンケット(懇親会)に参加できます.表彰や来年度の開催地など重要なアナウンスも行われますので,交流・懇親にご活用下さい.
5. 研究のトレンドを知り,最新技術を使いこなすための勉強ができる場
- MIRUでは本会議開催の前日(8月7日)にチュートリアルを開催します.チュートリアルの聴講料はMIRUの参加料に含まれています.最新の理論や研究トレンド,各種ツールなど,画像の認識・理解に関する最新技術を学ぶことができますので,ぜひご参加下さい.